振動溶着 (バイブレーションウェルディング)
振動溶着は1970年初頭に開発されました。超音波溶着がその原理・構成から比較的小物の樹脂が適応範囲でした。より大物樹脂部品を溶着する技術として振動溶着は有望な溶着工法として重要な位置を占めています。丁度、寒い時に手を擦る原理で、溶着部品の境界面に摩擦熱を発生させて一瞬に溶融・溶着を行います。ここでは、振動溶着の原理、装置の構成、溶着設計(ジョイントデザイン)、溶着適合性、デュケイン社の装置の利点及びアプリケーションについて記述します。
振動溶着の原理
振動溶着の原理は周波数約200Hzから250Hzで振幅は約0.5mm-2.0mmで左右に横振動を発生させ、同時に圧力を加える事で上下のプラスチック部品が一瞬に溶融し、溶着が行われます。下図の上部品を保持する上治具、下部品を保持する下治具から構成され、テーブルに取り付けられた下治具には下部品がセットされます。又、上治具には上部品がセットされます。テーブルは油圧装置によって上昇し、上下部品が接触した時、横振動を開始します。一般的には1-2mmの溶け代が行われた後に、僅かの冷却時間を経て、プラスチック部品は分子結合され強力な溶着が行われます。その後、テーブルは下降して元の位置に戻ります。振動溶着の基本要素は周波数、振幅、圧力、及び発振時間となります。
振動溶着装置の構成
強靭な溶着機本体のフレームにはヘッド、電磁コイル、共鳴スプリング、上治具、下治具及びテーブルなどが装置されています。電磁コイルに交番電流が流れると、共鳴スプリングに一体となった、上治具が左右に約0.5mm-2mmの振幅で作動します。下治具を取り付けたテーブルは油圧機構によって、上部へと持ち上げられます。上下治具に取りついたプラスチック部品が重なり合うと、テーブルは静止した状態で、上治具(バイブレーター)のみが左右に振動を開始します。プラスチック部品を溶かすに充分な温度に一瞬に上昇して強力な溶着が行われます。
振動溶着設計ジョイントデザイン
最適な溶着結果を得るには、装置(ハードウエアー)の他に溶着部の設計(ジョイントデザイン)が重要です。設計の3要素は、形状、材質、仕様です。この3要素からその溶着部品に最適な溶着設計を行います。形状は大きさ、複雑さ、溶着部までの距離などがあります。材質は非晶性樹脂か半結晶性樹脂か、材料の中にガラスやタルクなど充填剤が入っていないか、仕様に関しましては強度、外観、水密・気密性などを考慮します。上述の様に溶着設計は重要です。検討製品がございましたら、まず弊社へご相談下さい。下図に一例を示しますが、Wは溶着幅で一般的には2-3mmで、溶け代Dは1-2mmに設計します。
振動溶着樹脂適合性
以下のリストは樹脂材料間の振動溶着適合性を示しています。緑色は適合性があり、茶色は全てではありませんが、場合によって適合性があります。
デュケイン社振動溶着機利点
デュケイン社の振動溶着機の主な利点としては下記の項目が挙げられます。
振動溶着アプリケーション
振動溶着は自動車部品、医療部品、家庭用品、家電部品、建築部品などに利用されております。